高かろう悪かろう - 投影機はなるべく安い部品で作る

安かろう悪かろうという言葉がある。
安いものは質が悪いという意味で、買う場合はそれ相応の覚悟を持てというニュアンスを少し含む。

この言葉がプラネタリウムには、とんと機能しないことが多くある。
金銭をかけた仕組みが上手く動かず、原始的で安い仕組みの方が良かった、なんてこともある。
イデア勝負とも言う。


電子回路について言うと、まさにそのとおりであって、

安い部品 高い部品
量産向き 量産に向かない
流通量が多い 流通量が少ない
予備部品を置いておきやすい 予備部品を置きにくい
製造廃止になりにくい 製造廃止になりやすい
無理のない設計に使われる 無理な設計に直結する
構造が単純で理解しやすい 構造が複雑で理解しにくい
サイズが小さい サイズが大きい
設計自由度が高い 設計自由度が低い
性能が悪い 性能が良い
必要な部品が多くなりやすい 必要な部品が少なくてすむ

といったように安い部品の方が優れていることがよくある。
これは単純な構造で流通量が多いものほど安くなる電子部品の性質にもよる。

入手性が良いということは、何年か後に修理のため部品が必要になった、という状況でも電子部品屋に在庫があることが予想できる。これが修理しやすいことに繋がる。

無理な設計かどうか、というのは、安い部品でできないことを高い部品で実現しようとしているということでもある。だから、高い部品を使うことは設計の前提に問題があることがある。

(もちろん仕方なくそういう部品を使うこともある…3Psの場合はモータドライバなど。こういう時は使わないといけないんだけど、泣く泣く予備部品を大量に抱え、故障時に部品交換しやすいようにメインの基板から離すなど工夫が強いられるのでとても面倒。)


もちろん安い部品には短所がある。
当然ながら性能は悪い。高い部品では大は小を兼ねる、という雑な使い方ができても、安い部品では必ずこの部分が制限として響いてくる。
制限が厳しいと目的を達成できないように思うかもしれないが、「増幅」を始め、それ相応の工夫というものがある。ただしその分仕組みを組まないといけないのだから、複雑にはなる。

一方で機構的な部品(モータとか歯車とか)は負荷が高く精度が求められるので場所なので、お金をかけた方が良かったりする。ただケチればいいというものでもない…

必ずどちらがいいとも言いづらいが、大抵安い部品で作り、上手くいかないところ、必要なところは高い部品を使う、という方針でいけば設計にもお財布にも優しい。
今後紹介する回路などもそういう理念で設計してある。